本研究について

 特定給食施設の栄養管理の主体は給食(食事)であり,その食事は栄養計画の品質通りであることが極めて重要です。食事の品質に関与するのは給食の資源ですが,現在,特定給食施設を取り巻く現状は厳しく,特に慢性的な労働力不足と,食材費の高騰による影響は深刻です。これらに対応でき,かつ効率的で調理,衛生,環境等に十分配慮した生産システムが求められます。また,医療施設における入院中の食事は医療の一環として位置付けられていますが,国の調査では大幅な赤字運営となっており,これ以上の社会保障費の投入は見込めません。入院時食事療養制度の持続可能性を高める観点から,より効率的・効果的な運営のための検討が急務といえます。

 私たちは,2019度から3年計画で,厚生労働行政推進調査事業費を受け,特定給食施設等における適切な栄養管理業務の運営に関する研究を遂行しています。
本研究では,
1)医療施設,高齢者福祉施設(介護老人保健施設),児童福祉施設(保育園等),事業所等の別に,給食管理業務の実態,国内外のカミサリー/セントラルキッチンシステムの実態等の整理を行い,
2)特定給食施設の事務作業の軽減化に向けた帳票類の削減案等の提示や,
3)食事提供数や食種が比較的安定した医療施設等が利用できる新しい給食管理手法の提案等を通じて,特定給食施設における適切かつ持続可能な栄養管理の推進のための基礎資料の作成
を目指しています。

 これらの成果は,厚生労働行政の課題である健康日本21(第二次)中間評価後の栄養・食生活分野の取組の推進における基礎資料となるほか,本研究結果を踏まえた特定給食施設に係る通知等の見直しにより,特定給食施設及び医療機能別の給食管理の状況に合わせた効率的・効果的な業務を可能とすることが期待されます。